周りの様子を確認しつつ、俺は相手と対峙する。
声をあげて混乱する者。
冷静に見せかけている者。
そんな中で、俺は……相手と対峙していた。
その強さを、俺はよく知っている。
だから…俺は限界まで力を蓄えてきたのだ。
それでも、いざ目の前の存在を見ると、震えが止まらない。
だけど……今更。
今更、諦めるなど出来ない!
自分の全力以上──自分がそう思っているだけかもしれないが──で、俺は奴に向かう。
奴には俺のことなど見えていない。気にするほどの存在ではないのだから。
そもそも、奴が本気を出すまでもなく、普通の人間なら衝撃だけで立ち向かえなくなる。
だが、俺には、絶対の自信があった。
だから、何の遠慮もなく懐で奴を……斬るだけのこと!
ブワァァ!!!
「ぴこおおおおおおおおおおおおん!!」
……斬った部分から異様な音が聞こえたが、それなりの効果はあったらしい。
もう一撃決めても反応は同じ。どうにも何かが決まらない。
「ちっ…なめてるのか?」
いや、奴が人間をなめていることなんてとっくに分かっ……て……!?
「ぴこおおおおおおおおおおおおん!!」
ドスッッッッッッッッ!!!!!
「かはっ……」
白い。
意識が……!
いや……まだ、いける!
「くっ!」
一瞬、衝撃と奴の白さで意識が逝きかけた……。
しかしまずいな…もう一撃耐えられるかどうか……微妙なところだ。
「……柳也殿」
「……え!?」
「柳也殿!!」
「神奈!?」
何故……!
どうして……!!
「逃げるようにいっただろう! これは俺の……個人的な問題だ!」
「嫌じゃ!!」
その存在は俺を覚醒させ、俺の目的を思い出させてくれた。
奴を……この化け物を倒すこと。
それが俺の目的だということを。
「はぁぁぁぁぁぁ!!!」
俺の手には刀が握られている。
殺すためではない。
これは、主を守り、前に進むための刀。
俺にはこいつを奴にぶつけるしか、道がないんだ!!
「くらい……やがれぇっ!!!」
「ぴこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
ドスッッッッッッッッッッッッッ!!!!
「──!!」
…まだだ。
「まだ終わらねえっ!!!」
俺は勢いよく奴の体を貫いて……そのまま脱出していた。
傷つけた部分は奴の体のわずかな部分。
音も、奴の足音、それだけに掻き消されてしまった。
つまり、奴への攻撃の威力は、気付くにも値しないものだった。そういうことだ。
それに対し、俺の体は既に……満身創痍。
例えば、奴に子供がいて、それがぶつかってきたら。
それだけで死ぬ。そう思う。
ああ……そんなこと考えちまうから。
限界だって……自分で分かってしまったじゃないか…。
バサァァ!!!
「柳也殿! ここは一旦退いた方がいいのではないか?」
「……言う前に、退こうとしてるんじゃない」
俺が膝を着くと同時に、神奈は俺を……空へ引き上げた。
「でもまあ、ありがとな」
そう言うと、神奈の俺を見る表情が変わる。
にじみ出たものは……『安心感』
だから……胸が痛かった。
空で。
俺は軽く神奈を後ろ手で突き飛ばす。
下にあるは、奴。
奴の身体に。
俺は導かれていく。
ありがとな……。
もう、一歩も、動けそうもなかったからな。
「くらえ!! 雷鳴剣!!!!!!」
奴の身体は……まだその動きを止めていない。
俺の会心の一撃も……所詮、奴にとってはとるに足らない物だったということだ。
「ぴこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」
……死ねる、な。
俺は、『最後』を覚悟して、ゆっくりと、目を閉じた。
……なのに。
「お前が、前に出て……どうするんだ……」
「余……余が、奴の相手をする!」
「……! 無茶は、やめろ!!」
くっ……今からじゃ……どうしたって回避出来ねえっていうのに……!!
「ぴこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!!」
「……ひっ!!!!」
奴の咆哮により、俺たちに多大な衝撃が与えられる。
だが、それによって神奈の動きが一瞬止まる。
「くっ……!!」
その隙をついて、俺は再び前に出る!
「俺が、時間を稼ぐ、その隙に、お前は、逃げろ!」
どうやったって、まともな一撃じゃこいつは倒せない。
それが、俺にはよくわかった。
次の一撃が来るまでに……俺の命が絶たれるまでに……奴は倒せない。
「これが、最後の一撃っ!」
ガンッ!!
鈍い音。
奴の急所のような部分は分かったが、今の俺の体力では対した攻撃にならない。
……って、まずい、また……意識が……。
「…………柳也殿」
……悔しかった。
……俺には。
……もう。
……奴も。
……神奈すらも。
……止めることが出来ないから。
何も見えない、何も聞こえない俺。
強い衝撃。
分かる。
奴が、虫を踏むかのように神奈を……。
そして。
目が覚めて。
信じられないような巨大な穴が目の前にあって。
その中心を見て。
俺は……泣いた。
「神奈ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!」
身体中が悲鳴を……既に悲鳴すらあげることが出来ない体で。
俺は奴に向かう。
俺を、自分でない何かが動かしているような感覚。
もう二度と……こんな気分は味わいたくなかった。
──もう二度と、ありえない事を、知っているけれども──
「うらぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!」
「ぴこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!」
奴のうろたえようが手に取るように分かる。
当然だろう、こんな虫の息の様な奴が…向かってきてるんだからな!
「……ここだっ!」
「ぴこぉぉぉぉっっ!!!?」
既に、奴の急所は分かっている。
今の俺の力では、狙おうと関係ないことも。
「……さあ、どうした! 随分と焦っているようじゃないか!?」
俺が言う台詞じゃ……ないけどな。
「ぴこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!!」
所詮は獣だろう?
急所を狙われて焦るのは当然の、な。
「吼えているだけか?」
俺は、自分の手に握られている刀を、もう一度見た。
殺すためではない。
これは、主を守り、前に進むための刀。
……だった。
「……神奈」
誓いは……もう……
……いや。
それでも……俺は。
「神奈備命が随身、柳也参るっ!」
「ぴこおおおおおおおおおおおおん!!」
力に溺れているお前を……
力を過信していた俺が……
……止めてやる。
「せあっっっ!!!!!!!!」
──お前の力でなっっっ!!!!──
周りの全てがゆっくりに見える。
再び、自分が懐に入り込んでいる様子がはっきりとわかる。
奴の勢いを……そのまま……奴に返すっ!!
「終わりだ……!」
ゆっくりと動く世界。
音の無い世界。
だが、俺には、はっきりと分かった──
──全てが、終わったのだということが──
「…………」
無言で、奴の身体を見下ろす。
死んではいない。
あくまで、俺は神奈を……主とすることを選んだ。選ぼうとした。
……それでも。
……神奈を殺した奴が、目の前にいる。
その事実が、俺の意志を、何度も、殺すように、追いたてる。
ふと俺は、自分が刀を振り上げていることに気付いた。
「……終わり、か」
どこか諦めたような自分の言葉。
何が終わりなのだろう?
こいつの命だろうか?
それとも…俺の、存在意義だろうか?
そして、刀を振り下ろそうとした、瞬間──
「……柳也……殿?」
……刀は……動かなかった。
<後書きなど>
ポテトン初勝利記念、戦闘野郎のノベライズ化です(ぉぉぉぉ
柳也&神奈備命でAS、εをクリアした時の最終戦をそのまま書いてます。
なんか、凄い良い感じな一戦だったので…。
多少、SSにするうえで問題があったので修正しましたが…。
では、ASでの実際のバトル内容レポート。
それまでの四戦はそれなりに戦って、とりあえず柳也はHP360前後(最大HP380)で、さらにゲージMAXで四戦目に勝利したので、ゲージも3まで貯まっていました。
柳也が言った通り、ポテトン勝利が目的だったので。
当然、『不殺の誓い』で攻撃力、防御力上昇済みです。
3ターン目 攻撃
6ターン目 攻撃 ストライカー神奈、回復
7ターン目 ポテトンが攻撃
ここでポテトンが攻撃してくるのが誤算でした(汗
いえ、以前詩子さんで挑んだ時、毎回咆哮だったので…。
9ターン目 攻撃
12ターン目 超必殺技『雷鳴剣』
この辺りが、SSと異なる場所です。
SSでは、もう一撃くらってから攻撃してますが、実際は先に攻撃してました。
まあ、次の攻撃は危ない賭けでしたが…。
14ターン目 ポテトンが咆哮
ここも、先に咆哮でした。
というか、最初の一撃でHP半分以上減らされていたので危険でしたが、ここはクリア。
17ターン目 攻撃
20ターン目 攻撃
21ターン目 ポテトンが攻撃
ここで、攻撃でした(汗
SSで柳也死にかかっていますが、実際HP一桁でした。運が良かったです。
23ターン目 攻撃
26ターン目 チェンジ
言うまでもありませんが、神奈が自主的に交代するわけがありません(w
28ターン目 ポテトンが攻撃
最初の一撃でピンチに。
まあ、実際俺は捨て駒のような感じで見てましたし(ぉぉぉぉ
30ターン目 攻撃
34ターン目 防御
少しでも減らせることを期待しつつ攻撃。
通常攻撃なら防御で1回は耐えられるので防御…。
35ターン目 ポテトン『コメット』 神奈、戦闘不能
防御意味無し(爆
大きな穴の中心に神奈がいた理由がこれです(w
38ターン目 攻撃
41ターン目 攻撃
42ターン目 ポテトンが咆哮
言うまでもありませんが、攻撃されたら死んでました(汗
46ターン目 攻撃
49ターン目 必殺技『無行の位』
ここまで来た時は、笑みすら浮かべましたね(何
相手の攻撃力を利用する技ではないですが、SSの演出上、一応。
49ターン目 ポテトンが攻撃 柳也、カウンター発動。ポテトン、戦闘不能。
で、勝った訳です。初勝利はかなり嬉しかったですね。
神奈が生き返ったのは…ASだからです(マテ
この通り、そのままをSS化しただけです(汗
大した物は出来ないですが、こういう面白いシチュエーションがあったらまたやりたいと思ってます。
後書き長いですが…では!
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