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 何故走るのか。
 それはたい焼きを取って逃げたから。

 何故取ったのか。
 それはそこにたい焼きがあったから。





 何故出会ったのか。
 それは運命だったから。





 何故探すのか。
 それは大切な物だから。





 何故誘ったのか。
 それは彼が好きだから。

 何故隠れたのか。
 それは幽霊が恐いから。





 何故泊まったのか。
 それは温かかったから。

 何故帰ったのか。
 それは温かかったから。


 何故……キスをしたのか。
 それは彼が好きだから。





 何故嬉しいのか。
 それは彼が好きだから。

 何故待つのか。
 それは彼が好きだから。

 何故登るのか。
 それは彼が恋しいから。










 何故泣くのか。
 それは彼を愛しているから。





 何故消えたのか。
 それはそこにいないから。










 そして……










「……ん? 何で笑ってるんだ、あゆ」

「だって……」

 春のそよ風の中、帽子を被った少女は、微笑みと共に、少年に言った。

 その「何故」に答える言葉は、一つだけ。

「ボクが、ここにいるから」






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